〜 可憐の場合(1) 〜
その夜、リビングは異様な雰囲気に包まれていた。
兄の姿はなく、部屋には姉妹だけ。皆、手を後ろに回していたり、クッションの下を確かめていたりと、明らかに何かを隠し持っている。
「鈴凛ちゃん、まだですか?」
焦れた声の可憐に、鈴凛が首だけを動かして応えた。
「どうせ時間の問題なんだからさぁ」
どこか呆れた口調の鈴凛は、トランシーバーを片手に戸口で立っていた。そして、耳を当てて何も聞こえないことを確かめると、ひょいっと肩を竦めてみせる。
「そんなに焦らなくてもいいんじゃないの?」
「でも、可憐は少しでも早く触りたいんです。一昨日から待ち遠しくって……可憐、もう我慢できませんっ!」
「まあ、確かにドキドキはするけどね」
と、可憐の隣に擦り寄る咲耶。
「だけど、いくら何でもそれは大げさでしょ。一週間しか空いてないんだから」
「一週間も、です。咲耶ちゃんは気にならないんですか?」
「ならないって言ったらウソになるけど、でも、普段の行いが良ければ防げるものでしょ」
「そ、それはそうですけど……」
口篭る可憐をあざ笑うかのように、トランシーバーが沈黙を破る。
『ベルリンベルリン、こちらクレイフォー! リンドバーグはパリから帰還しマシタデスどーぞー』
「……ニューヨーク、だってさ」
鈴凛がレシーバーを掲げるや否や、皆が一斉に動き出す。自分の懐、ソファーの裏、果ては寝そべったミカエルの下から取り出されるヘアブラシやハサミといった品々。
「さ、始めるわよ」
咲耶の号令でざあっと輪になると、まずは自分の髪を下ろし、目の前の髪をブラシで梳かし始める姉妹たち。
「うーん、ちょっと絡まってますね」
「痛っ! も少し丁寧にやってくれる?」
「あ、枝毛発見ですよ」
「えー、ウソでしょ?」
かしましく会話を繰り広げながら、姉妹たちは髪の手入れに余念がない。
だが、会話に加わっているのは髪の長い姉妹に限られていて、例えば、衛や花穂や雛子は輪の中にすら入っていない。もちろん、鈴凛も仲間はずれの一人だった。
「わっかんないなぁ。これぐらい、アニキに見られても別にいいじゃない」
扉に寄り掛かったままの鈴凛が、肩にも届かないショートボブを掻き上げる。
「何も、アニキがお風呂に入ってる隙を狙わなくたってさ」
「そういうわけにはいきませんわ」
春歌が鞠絵の髪を梳かしながら言う。
「髪は女の命。その命が乱れていたとなれば、大和撫子失格です」
「そうですね。枝毛なんて、ちょっとしたことですぐにできてしまいますし」
と、白雪の髪をブラッシングしながら鞠絵。
「兄上様に、だらしない子なんて思われたくありませんから」
「姫は髪の毛の先っぽがカールしてますけど、油断はできませんの」
咲耶の髪を触れる手を止め、白雪がくねくねと身をよじらせる。
「だって、姫の髪は綺麗だねってにいさまが手に取って……いやーん、にいさまったらっ!」
「ほらほら、白雪ちゃん。手がお留守よ。髪にブラシを引っ掛けたままにしないで」
頭を振りながらも、咲耶が可憐の髪を弄る動きに澱みはない。
「まあ、鈴凛ちゃんの疑問もわからないでもないけどね。こんな場所でやるなって思ってるでしょ?」
「可憐たちの部屋だと大人数は無理ですから」
可憐はまとめた春歌の毛先に、ほんの少しハサミを入れる。
「でも、今の人数なら何とかならないような気がしなくないですけど」
「ま、確かにね」
鈴凛が頷き、五人の輪から片隅の二人組みに目を移す。
「千影ちゃんも仲間に入れてもらったら?」
「……仲間? 冗談じゃないね」
千影は亞里亞の髪を梳き通すのに夢中で、鈴凛たちの方を見向きもしない。
「古来より、女性の髪には呪力が宿ると言われている。そんなものを他人に触らせるなど、自殺行為もいいところだね」
「姉や、死んじゃうの……?」
くすん、と亞里亞が鼻をすすり上げ、千影の顔に動揺が走る。
「次は亞里亞がしてあげる番なのに、姉やは死んじゃうの?」
「し、死なない死なない。そんなことは絶対にないよ。だって、亞里亞くんは特別だからね」
「うんっ! 亞里亞は、姉やの特別なの」
千影が背後から亞里亞を抱きしめる姿を見て、鈴凛は深々とため息をついた。
「何かもう、見てらんないわ」
「そうよねぇ……」
咲耶も鈴凛に同調し、傍らの雛子に目を向ける。
「ねぇ、ヒナちゃんもやってあげよっか」
「ううん、ヒナは別にいいよ。だって、ヒナはミカエルをやってあげてるもん。ね、ミカエル?」
額にブラシを当てられたミカエルは、目をしぱしぱとさせるばかり。喜んでいるというより少し迷惑そうにも見えるのだが、当の雛子がそれに気付く様子はない。鞠絵が目配せをすると、ミカエルは一度鼻を鳴らしてだらんと床に寝そべった。
「クレイフォー、ただいま帰還しマシタ!」
ちょうどその時、直立不動で敬礼したままの四葉が廊下を滑りながらやって来た。そのまま行き過ぎそうになるところを鈴凛が掴み止め、中へ引っ張り込む。
「ぅおぉっととと。鈴凛ちゃん、さっすがデスね!」
反動でよろめきながらブラシを取り出し、文句が出るのもお構いなしに輪の中へ割り込む。
「さぁ、鈴凛ちゃんも一緒に、レッツ・グルーミング!」
「いや、だから、アタシはいいって言ってるでしょ」
「そんなこと言わないでください。鈴凛ちゃんなら歓迎ですよ」
四葉の強引な割り込みを押しのけながら、鈴凛に対してはあくまでにこやかな可憐。
「それ、どういう意味デスか? 可憐ちゃん、まるで四葉じゃダメみたいな言い方してマス」
「そんなことありませんよ。可憐が嫌いなのは常識のない人です。例えば、人が刃物を使っている時に体当たりしてくる人とか」
「うーん、それは確かにデンジャラスデスね。そういうのは四葉もあんまり好きじゃないデスよ」
「……もしかして、わざと言ってませんか?」
「まあまあ、二人とも。今はそれぐらいにしておきませんか」
鞠絵がやんわりと二人の間に割って入り、それで場が収まった。
「鈴凛ちゃんも、一度伸ばしてみたらいかがですか。きっと似合うと思いますよ」
「え、アタシ?」
鈴凛がぎょっと顔を歪めた。
「うーん、いや、アタシはさ、まあ、興味がないわけじゃないけど……」
「けど……何ですか?」
促されるが、鈴凛は頬をぽりぽりと掻いて言葉を濁し続ける。
「だって、ほら、その、アタシってアレでしょ? 朝とかすごく弱いしさ」
「なるほど……」
鞠絵のみならず、姉妹たちが納得の面持ちで頷く。
「ぶっちゃけ、起き抜けの貴重な五分を鏡の前で過ごすのってすごく無駄じゃない? アタシなら絶対、二度寝に使う。っていうか、夜余ってる時間を朝に回したいぐらい」
「確かにそうかもしれません。ですが、他ならぬ兄君さまの御為。これがあの海神の妹なのかと後ろ指を指されない為ならば、朝の五分や十分や十五分など決して惜しくはありませんわ」
「うん、まあ、春歌ちゃんはね」
決めたつもりが軽くいなされ、春歌は「はぁ」と気の抜けた声を出した。だが、鈴凛の腑抜けっぷりはそれ以上だった。
「そりゃあ、まあ、アタシだってアニキには可愛く見られたいけどさぁ……」
「さっきから何をそんなに迷ってるの? 悩みがあるなら、この咲耶お姉ちゃんに打ち明けてごらんなさい」
「咲耶ちゃんの言う通りですの。さ、姫たちに何でも相談してくださいな。お金のこと以外なら」
「まあ、そんなに聞きたいって言うなら……」
「ああ、もう、ハッキリしないわね」
咲耶が突然立ち上がったと思うと、四葉の背後を取り、ハサミを突き付けた。
「さぁ、全部喋らないとこの子の髪の命がないわよ」
「……へっ?」
四葉と鈴凛がまごついている間に「面白そうですね」「ではワタクシも」などと手が伸び、四葉の周囲でたちまち六対の白刃が輝く。
「ふふふ……チェックメイトだ。そろそろ観念したまえ、鈴凛くん」
「そうよ。大人しく白状しないと、四葉ちゃんが丸坊主……って、何で千影までいるのよ!」
人垣の後ろから腕と顔を突き出した千影は、まるで背後霊のようだった。そしてさらにその背中には、亞里亞がくっついている。
「常識的に考えてここは私の出番だからね。この中で悪役といえば、私が最も相応しい」
「じゃあ、亞里亞ちゃんを何とかしなさいよ。あんたなんかと一緒にしちゃ可哀想でしょ」
「それより、四葉の方がずっと可哀想なのデス。鈴凛ちゃん、早く助けてクダサイ!」
「泣いても叫んでも助けは来ないよ。さあ、覚悟するんだね」
「あっ、それ私の台詞でしょ。勝手に使わないでよ」
「たまには私に出番を譲ってくれてもいいじゃないか」
「ああん、もうっ! 被害者の四葉にスポットライトが当たらないのは、何かの間違いなのデス!」
「何よ、千影のくせに」
「何さ、咲耶くんのくせに」
「いい加減にしてくださいっ!」
きぃんと甲高い声で周囲を黙らせたのは可憐だった。
「咲耶ちゃんも千影ちゃんも、ケンカなんかしている場合じゃないんです。今はどうやって四葉ちゃんを丸坊主にするか……じゃなくて、どうやって鈴凛ちゃんから悩みを聞き出すか、です」
「そういえば……」
「そうだったね……」
全員の注目がようやく元に戻ったその時、既に鈴凛の姿はなかった。代わりに、書き置きが一枚残されていた。
『飽きたから帰る』
「よ、四葉を置いてくなんてヒドいデス! 鈴凛ちゃーん、待ってクダサーイ!」
四葉は一度ごろんと前転すると反動で立ち上がり、そのままの勢いでリビングを出て行った。
「やれやれ、ようやく静かになったね……」
千影が亞里亞を連れて元いた場所に戻ると、残る可憐たちも再び輪になり、何事もなかったように髪を梳かし始める。
「それにしても鈴凛ちゃん。結局、何が言いたかったのでしょうか」
「どうせまた、いつもの金欠病でしょ」
「本当にそうでしょうか」
そう言って可憐がふと手を止めるので、残る四人もつられて動きが止まる。
「髪を伸ばすことには、興味があるみたいでしたよね。鈴凛ちゃん」
「鈴凛ちゃんだって女の子なんだから、それぐらいは思うでしょ。気にしすぎよ」
楽観的な咲耶に対し、可憐はあくまで慎重な態度を崩そうとしない。
「ですけど、髪をあの長さにし続けるのだって、それなりにお金は掛かると思うんです」
「時間をお金で買ったってことじゃないの? あの短さならすぐに乾くし、手入れも何もいらないんだから」
でも、と言い掛ける可憐を思い留まらせたのは鞠絵だった。
「あの、よろしいでしょうか」
鞠絵は小さく手を上げて皆の視線を集めると、こほん、と咳払いした。
「わたくしが思うに、髪を伸ばしても意味がないと、そう言いたかったのではないでしょうか」
「それは一体、どういう意味ですの?」
鞠絵が眼鏡を光らせながら白雪に向き直る。
「わたくしたちが、こうして兄上様の目を忍んで枝毛を切っているのも、全ては兄上様によく思われたいがため……」
「もちろんですわ。このような無様な姿を、兄君さまに見られるわけには」
「ですが、兄上様の関心が全く向いていないとしたらどうでしょう」
「そんなはずありません。お兄ちゃんが可憐たちを見ないなんて。だって、さっきも可憐が爪切りしているところじーっと見てくれたんですよ。スカート穿いたまま足の爪を切っちゃって、ちょっとはしたなかったかもしれないけど……あれっ? みんな、そんな難しい顔してどうしたんですか?」
「いえ、その、どう言えばいいのでしょうか……」
鞠絵はもちろん、咲耶や千影は渋い顔で腕組みをし、雛子ですらも眉間に皺を寄せて不愉快さを表に出している。可憐を除いては、亞里亞が唯一の例外だった。
「何がそんなに問題なんですか? お兄ちゃんがあの佐々木さんとかいう女にうつつを抜かしているとか、そういうわけではありませんよね」
「うん、確かにね。そういう意味ではぜんっぜん問題ないのよね。むしろ問題がなさすぎるぐらい」
「じゃあ、それでいいじゃないですか」
あまりにきっぱりと可憐が言い切るので、咲耶たちが額を寄せてひそひそ話を始める。
「ねぇ、どうする? あの子、まだ気付いてないんだけど」
「この際、正直に言ってしまいましょうか」
「でも、それは危険すぎますの」
「ワタクシもそう思います。ここは何とか穏便に……」
「しかし、可憐くんにバレるのは時間の問題だと思うが」
「ちょっと、何でまた千影が――」
「今はいがみ合っている場合ではないよ。とにかく、一触即発の危機なんだ」
「よりにもよって可憐ちゃんが残ってるなんて、にいさまは好き嫌いが激しすぎます」
「それだけ、手を出しにくかったということですわ」
「下手をすれば命まで奪われてしまいかねませんからね」
「ホント、どうすればいいのかしら……」
先行きの暗さに、五人はどっとため息をついた。
思い込みの強さでは春歌をも上回る可憐。かっこよくってやさしくって大好きなお兄ちゃんが足フェチの変態さんだと知ったら、果たして何をしでかしてくれるのか全く見当もつかない。
「すみません。わたくしが余計なことを言わなければ――」
「花穂ちゃん、そんなところで何をしてるんですか?」
突然の鋭い声が密談を中止させた。見ると、仁王立ちになった可憐がソファーの裏を見下ろしている。雛子がミカエルと一緒に覗き込み、素っ頓狂な声を上げた。
「あっ、花穂ちゃんと衛ちゃんがプロレスごっこしてるよ」
「プロレスって、あのプロレス?」
「こんな時間からくんずほぐれつだなんて、衛ちゃんもなかなか隅には置けませんのね」
「いや、春歌くんの妄想力ほどではないと思うが……」
「そうですよ。この二人の場合は『花穂×衛』以外にありませんから」
がやがやと立ち上がり、どやどやと取り囲む姉妹たち。
「……うーん、これは確かに雛子ちゃんの言う通りですの」
頭の向きを変え、脚と脚とを絡め合う二人。パッと見はプロレスの関節技のようでもあったが、お互いのつま先がお互いの顔の前に来ていて、足フェチ的には至高のポジションといえる。
「こんなところでこそこそと、何をしてるんですか?」
ひぃっ、と肩を竦めた花穂は、手にしていた刃物をおずおずと掲げてみせた。
「か、花穂たち、爪切りしてただけだよ。ね、衛ちゃん?」
「あー、そうだね。爪切りだね」
一方の衛はといえば、すっかりやる気のない表情で短く答えるのみ。どちらが首謀者なのか、考えるまでもなかった。
「……確かにそれは爪切りですけど」
可憐は狙いを花穂に絞り、その枕元に立ちはだかった。
「でも、どうしてこんなところで、それも、衛ちゃんを巻き添えにしてるんですか? 花穂ちゃんは爪切りも一人でできないんですか?」
「じゃ、じゃあ、可憐ちゃんたちがみんなで枝毛の切り合いっこしてるのはどうして? そんなに長い髪の毛なのに、一人で切れないのはどうしてなの?」
花穂の問い掛けに、顔を見合わせて口篭る姉妹たち。言われてみれば至極もっともな正論だった。
予想以上の反応に自信を得たのか、花穂の口調に得意げなものが混ざる。
「花穂たちも、可憐ちゃんたちと同じだよ。お兄ちゃまにきれいなのを見てもらいたいから、だから衛ちゃんにやってもらうの。無理な姿勢で自分のを切るより、そっちの方がうまくいくもんね」
「それはわかりましたけど……でも、どうして爪なんですか?」
「あ、可憐ちゃん、まだ知らないんだー? あのね――」
「ちょ、花穂ちゃんっ!」
危険を察知した咲耶が止めに入るが、時既に遅し。
「お兄ちゃまは、花穂たちのつま先が大好きなんだよ。この前もね、花穂のつま先をくんくんぺろぺろして……」
ここでようやく異変に気が付く花穂。慌てて口元を塞いだ腕を咲耶と春歌に取られ、そのままずるずると外に連れ出される。
一方の可憐はといえば、目を大きく見開きながら身体をわななかせている。
「くんくんぺろぺろって、花穂ちゃんのつま先を……? そんな、ミカエルみたいなこと、お兄ちゃんが……一体どういうことなんですか、花穂ちゃんっ!」
ぐるん、と勢いよく首を巡らせる様は、まるで獲物を探す猛禽類のよう。衛や白雪はもちろん、千影さえもが思わず後ずさりする迫力だ。
しかし、そんな修羅場の中で平然と佇む姉妹が一人。
「まあまあまあ、少し落ち着いてください。可憐ちゃん」
と、にこやかに可憐の前へ進み出たのは鞠絵だった。
「落ち着く? どうやって? どうやって落ち着けばいいんですが? 鞠絵ちゃんはどうしてそんなに落ち着いていられるんですか? だってお兄ちゃんが、お兄ちゃんがそんな、変態さんみたいなこと――」
「可憐ちゃんの方こそ、どうしてそんなに慌てているのですか? 兄上様はただ単に、ミカエルの物真似をしていただけかもしれませんのに。だったら、兄上様が花穂ちゃんのつま先をくんくんぺろぺろしても、何もおかしくありませんよね? 犬は二本足で歩いたり、言葉を喋ったりしませんから、その方がずっとリアルですもの。ね?」
ほとんどこじつけ同然の説明が終わると、リビングに沈黙が訪れた。鞠絵と可憐を除いてはどの顔も暗く重い。ミカエルが鞠絵の足の間をうろうろと歩き回る音だけが静かに響いている。
そして、可憐が再び口を開いた。
「――それもそうですね」
すると、すかさず鞠絵が相槌を打つ。
「ええ、ですよねー」
「お兄ちゃんってばおちゃめさんなんですから」
「そうですよねー」
「でも、本当にそうなのか確かめなきゃ、可憐、すごく不安です」
「でしたら、今度の日曜日はどうですか? 確か、可憐ちゃんの番でしたよね」
「鞠絵ちゃん、さすがです。次の『お兄ちゃんの日』は可憐の番なんですよ」
「可憐ちゃんとのデートなら、兄上様もミカエルの物真似なんてしませんから。よかったですね」
「うん、本当に。可憐、今から日曜日が待ち遠しいです」
顔を見合わせてうふふと笑う二人の姿に、鞠絵だけは敵に回さないでおこうと固く心に誓う千影だった。
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