〜 衛の場合 〜
衛の一日はストレッチに始まりストレッチに終わる。
忙しい朝は五分程度のごく軽いものだが、寝る前のそれは二十分ぐらいを掛けてじっくりと身体をほぐす。その前にあたたかい牛乳を飲むとほとんど朝まで熟睡できるのだが、それを皆の前で言ってみたところ、なぜか鞠絵にだけ質問責めにあった。曰く「爪の伸び方が早くなってませんか」とか「左手だけ勝手に動いたりしませんか」とか。言われてみると確かにそんなような気がしなくもないし、夜、花穂に布団の中へ潜り込まれた時も彼女を押し退ける感じでひとりでに動いてくれたこともあったのだが、それがストレッチ前のミルクとどういう関係なのかいまいち見えてこない。ただ、もうちょっと平穏無事に過ごせたらとは常々思う。波乱万丈はトラックの中だけで十分だ。
ついでに言うと、赤ちゃんみたいに疲労やストレスを残さず目覚めることができ、健康診断でも全く異常はない。
その夜も衛はストレッチに励んでいた。いつもならパジャマに着替えてから自分の部屋で行うところを、リビングで普段着のスパッツ穿きのまま。
お目当てはテレビでやっている体操の世界大会だった。衛自身、競技としての体操とは縁もゆかりもないのだが、身体の柔軟さという点に関しては大いに参考になる。もっとも他の姉妹は違うらしく、気が付くと衛ひとりだけが取り残されていた。
「どうして見ないのかなぁ。こんなに面白いのにさ」
ブラウン管の中では女子の新体操の真っ最中だった。一本足ですっくと立った選手が、もう片方の足を頭上に高く掲げたままでぴたっと静止している。見事なY字バランスだ。
「うわ、すっごいなぁ。あんなに高く上がってるよ」
観ている衛の足もつられて高く上がる。が、さすがに長持ちはしない。すぐに疲れてしまって、首へ引っ掛ける感じで足を回した。つま先が頬にくっついているが、姿勢は安定している。このまま両腕の力だけで歩けそうだ。
「うん、ちょっとやってみよっと」
試しにやってみるとこれが意外にあっさりできた。もう片方の足を水平に伸ばしているのでバランスも取り易い。調子に乗ってさらに逆立ちしてみるが、これも驚くほどうまくいった。
「もしかして、ボクって意外に体操の才能あるかも」
将来は陸上選手になるものと自分で決め付けていただけに、これはちょっとした革命だった。何だか嬉しくなり、ぺったぺったと無闇に歩き回ってしまう。何より、人の視線を気にせずに足を広げられるのが嬉しい。少し前までは誰に見られても平気だったのに、最近になってからというもの、他人にどう見られているかそれが気になって仕方ないのだ。思い余って咲耶に相談すると「誰にでもそういう時期があるのよ」の一言で軽く片付けられてしまったが、咲耶のスカートがスカートなだけに妙な説得力を持っていた。それでもなおぐずぐずしていると、咲耶は衛の目を覗きつつじりっと詰め寄った。
「恥ずかしいって感じるのは、変に隠そうとするからよ。だから、逆に考えるの。『見られちゃってもいいんだ』って考えるの」
その場は頷いてごまかしたが、全く問題の解決になってないので内心がっかりだった。やはり、聞いた相手が悪かったのかもしれない。
足がぶつからないようにソファーの合間を縫って歩くと、続きになったダイニングのテーブルの周りをぐるっと一周。元の場所に戻ってタケコプターのようにその場をぐるぐる回っていると、そこへ鈴凛がリビングに入ってきた。
鈴凛は最初「?」という表情で衛を見下ろしていたが、顔につま先を向けられた途端、
「ぎゃあぁぁっ!」
「うわっ、わわわっ!」
鈴凛の悲鳴に驚いた衛だが、それでも綺麗に後ろへ一回転半してぺたんと座り込んだ。もちろん、片足を頭に回したままの格好でだ。鈴凛がその場にくたくたと崩れ落ちる。
「お、驚かさないでよホントにもう」
「ビックリしたのはボクのほうだってば。ボクはただ柔軟してただけなのにさ」
「へっ?」
言われて初めて気付いたらしく、鈴凛が衛の全身を舐め回すように見る。そして、急に背筋を正したと思うと「ごめんっ!」と拝んでみせた。
「ごめん、ホントにごめんね。何ていうかその、ちょっと色々あってさ。うん、ホントにそれだけだよ。他には何もないから。全然大丈夫。トラウマなんてどこにもないし」
「あー、そうなんだー」
鈴凛の言い訳は続いているが、とりあえず生返事で流しておくことにした。何やらトラブルの臭いがする。花穂ちゃんだけでも大変なのに、これ以上は止めてほしいよ。まったくもう。
一通り喋り終えた鈴凛は伸びをしながら立ち上がる。
「ごっめーん、すっかりジャマしちゃったね。ほら、柔軟続けて続けて。あ、ちょっ、つま先だけは勘弁ね。こっちに向けないで。そう、今はそのままで、アタシがいなくなってからぐるぐる。OK?」
妙なテンションに戸惑いながらも頷き返すと、姉はすっかり安心した顔になって踵を返した。と思ったら再び向き直り、今度は一転して口を開きにくそうにしている。
「どうしたの?」
「あー、えっと……ちょっと訊いていい?」
「うん。別にいいけど」
だが、鈴凛はもじもじしてばかりで言い出そうとしない。そしてなぜか、衛の顔をちらちらと見ている。
「ボクの顔に何かついてるの?」
「いやあのその、顔っていうか何ていうかそそそその顔の横にあるつま先の方なんだけど」
「これ?」
衛が足の親指だけを動かすと、鈴凛は身震いするようにがくがくと頷いた。
「そ、それってさ……気にならない?」
「どういう意味?」
「あー、いや、だからその、顔っていうか口のそばにあるわけだから、その、つまり、ひょっとしてひょっとするとついうっかり間違えて入ったりするかもしれないんだけどそれでも平気なのかなぁってちょっと思ったりなんかしたわけでさ。全然別にその、な、ななななめたいとか思ってるわけじゃないよ? うん、いやホントにマジ本気で」
「一応全然平気だけど、何ならやってあげよっか?」
返事を待たずにかぽっと親指をくわえると、鈴凛はさっきと同じぐらいの悲鳴を残して脱兎の如く走り去った。逃げた方向から「アニキのバカー」という声が響いてくる。
「……変な鈴凛ちゃん」
鈴凛(の発明品)が変なのは今に始まったことでないが、それにしても今夜の彼女はおかしすぎる。数日前に鈴凛の部屋の天井を四葉に突き破られたという事件があったが、もしかしてそれが原因だったりするのだろうか。
「そういえばなんか疲れてるみたいだったし、四葉ちゃんと付き合うのも結構体力いるからなぁ……」
他にもあれこれと思い浮かべたが、ストレッチを再開するとそれらはすぐに消え失せてしまった。
テレビはいつの間にか男子の器械体操に移っていた。あん馬に跨ったロシア人選手が長い足をぶんぶんと回している。体格がいいのでなかなか迫力のある光景だ。
「うわぁ、カッコいいなぁ」
見惚れる衛の身体も勝手にその真似をし始める。両腕だけで腰を浮かせて足を回し、その勢いを生かしつつ倒立の体勢へ。そこからさらに足を180度開き、ぴたっと静止した。画面の中ではあん馬を飛び降りてフィニッシュを決めているが、さすがにそこまでは真似できない。でも、やろうと思えば今にもできそうな気がする。うん、ホントに体操選手になってみよっかな。
しかし、あることを思い出してすぐさま意気消沈してしまう。
「でも、あん馬って男子だけなんだよね……」
女子の体操にはボールを使った種目があったはず。球技が苦手な衛にしてみればまさに鬼門だ。
「あーあ、ボクも男の子だったらいいのに」
「そんなことないと思うよ」
「えっ、だ、誰?」
衛は声の正体を確かめようと大きく広げた足の間から天井を見上げ、そして、こちらをじっと覗き込んでいる兄と目が合った。逆立ちしている分も含め、血が瞬時に顔へ集まる。
「あ、ああああああにぃっ?」
衛は恥ずかしさのあまり、とっさに足を閉じた――つまり、兄の首を挟む形で。
両側からつま先を叩き込まれた兄は、「ぐえっ」という奇妙な呻きを残して後ろに倒れた。
「うわっ! あ、あにぃ、大丈夫?」
勢いよく足を抱えて正座をした衛は、そのまま膝を詰めて兄へにじり寄る。息を整える風に目を閉じていた兄だったが、やがてむっくりと起き上がり、
「……なかなかいいカニ挟みだったよ」
「へっ? ……そ、そうなの?」
「うん、ちゃんと計算されてるね。角度とか」
そう言ってびしっと親指を立てるので、とりあえずは何ともないようだ。顔がにやけて見えるのが少し気掛かりだが、ボクを心配させないために痛いのをガマンしている、とプラスに解釈した。
「でも、こんなところで何してたの? ボクに用なら声掛ければいいのに」
「いやぁ、衛の足捌きにちょっと見惚れててね。邪魔をするのもどうかと思ったから、それで」
衛の胸がどきっと跳ねた。
「み、見てたの?」
「うん、見てたよ」
「……どこから?」
「食堂を一回りするあたりかな。水が飲みたくてキッチンに行ったら衛の足が目に飛び込んできてね。それからこっそりと物陰で……あれ? どうしたの、衛」
衛は顔を隠すように蹲ってしまった。大股開きも独り言も何もかも見聞きされていたのかと思うと、言葉も出ないぐらいに恥ずかしい。
「あ、あにぃのバカぁ……」
と、ようやくそれだけを搾り出した。すると、兄のすまなさそうな声が降り注ぐ。
「ごめん、衛。でも、僕が声を掛けたらきっと途中で止めてたと思うんだ。だって、もっと続けて見たかったからね」
「見たいって、ボクの体操?」
恐る恐る顔を上げて確かめると、兄は「うん」と首を縦に振った。
「すごく綺麗だったよ」
「キ、キレイ……?」
衛は思わず口をぱくぱくさせた。何しろ、衛に向けられる賞賛の声といえば「カッコいい」とか「凛々しい」といったものばかりで、美しさを評価されたことはほとんどなかったのだ。
「そっ、それって、あの、その――」
「床と平行にすらっと伸びた足とか、ふくらはぎからつま先に掛けての微妙なラインとかね。指先までちゃんとコントロールできていたし、とても綺麗だった。きっと、衛にはそういう才能があるんじゃないかな」
「そ、そんな、才能とかちょっと大げさだよ。あにぃってばさ」
衛はぼりぼりと頭を掻いて照れ隠しした。兄に誉められるのは格別に気持ちいい。ランニングを終えた後のように頭がぼうっとしてくる。
「あんまり謙遜するのもどうかと思うよ。だから、さっきの続きをやってくれないかな」
「うん、いいよ!」
と、すっかりいつもの調子に戻った衛。バネ仕掛けみたく弾むように立ち上がる。
「で、どんなのが見たい? 今なら何でもやってあげるよ」
「うん、それじゃあ――」
兄は考えを巡らせる風に視線を一度外し、軽く頷いてから衛の顔を見た。
「開脚がいいな」
「か、開脚?」
再び衛の顔が赤くなる。
「開脚って、その、足を広げること……だよね?」
「できれば180度の大開脚。だってほら、横へ一直線に伸びた足ってすごく綺麗だから」
期待に目を輝かせる兄を見ているうち、だんだん胸が苦しくなってくる。いくら兄の頼みといってもイヤなものはイヤなのだ。
「その……ごめん、あにぃ。そういうの、ちょっと恥ずかしくってさ」
すると、兄の表情が露骨に曇る。
「急にどうしたんだい? さっきまで平気でやっていたのに」
「あれは他に誰もいなかったからで、それに――」
衛はふっとあることを閃き、口をつぐんだ。言い訳するついでに相談してみたらどうだろうか。少なくとも、咲耶ちゃんよりはちゃんとした答えを教えてくれるはず。
「あのね、あにぃ。ボク、ちょっと相談があるんだけど」
膝をついて座り、口を挟まれる前に素早く言葉を続ける。
「最近、ボクって少し変なんだ。前は全然そんなことなかったのに、最近、人に見られるのが恥ずかしいって思うようになっちゃってさ。ボク、どうしたらいいのかな?」
「うーん。人に見られるのが恥ずかしい、か……」
兄は腕組みをしながら唸り声を出す。悩む姿も、衛の目にはどこかカッコよく見えてしまう。
「それはやっぱり、気持ちの問題じゃないかな」
「気持ちの問題……?」
衛は思わず問い返していた。何だか嫌な予感がする。
「うん。それは気持ちの問題だね。恥ずかしいって思うのは無理に隠そうとするからだよ。だから、逆に考えるんだ。『見えちゃってもいいさ』って考えるんだ……って、どうしたの? 大丈夫?」
衛は床に両手を付き、その場に崩れ落ちていた。ああ、そっか。あにぃって咲耶ちゃんにとってもあにぃなんだよね。もしかして、咲耶ちゃんもあにぃに同じこと相談してたのかも。
「とにかく、ちょっと練習してみようよ。さあ、立って立って」
促されるままのろのろと立ち上がる衛。対照的に兄の動きは機敏だ。ちょっと待ってと足早に部屋を出て行くと、息せき切ってすぐに駆け戻ってきた。
「ほら。これ穿いてみて」
手に握らされたのは、ミニ丈の白いプリーツスカートだった。どこかで見た覚えがある、と思ったら花穂のチア用ユニフォームだ。
「いや、あの、でも、これって――」
「大丈夫。物干しに掛かったままだったから」
「そうじゃなくて、どうしてボクが花穂ちゃんのを?」
いい質問だね、と頷いた兄は、おもむろに衛のスパッツへ視線を下ろした。
「衛は、スパッツを穿くようになってからどれぐらい?」
「えっ? えーっと、かなり前からだよね。小学校に上がる前からかな」
「最初は恥ずかしくなかった?」
「うん、まあ、ホントに最初の方だけね。慣れたら全然余裕だよ」
「つまりはそういうこと。スカートも同じだよ。習うより慣れろってね」
あんまりさわやかに言い放つので、衛はつられて首を振っていた。ハッと我に返った時にはもう遅い。
「そっ、そんなスススススカートだなんてボク恥ずかしくて――」
「だから今のうちに慣れておこうよ。ほら、僕が見ていてあげるから」
衛はすっかり困ってしまった。今日のあにぃってばなんだか変な感じ。いつもと違ってちょっと強引だし、でも、見ていてくれるっていうならスカートぐらいガマンしてあげていいかも。中学へ上がったら制服になるんだから、どっちにしても慣れておかなきゃいけないしさ。
「……うん、わかった。ボク、練習してみるよ」
衛の宣言になぜかバンザイをして喜ぶ兄。衛の心にふっと疑念が湧き上がるが、そんなはずないとすぐさま打ち消した。もしかしてあにぃ、ボクをただからかいたいだけなんじゃ……?
「よしっ、そうと決まったら早速スカートを穿いて開脚の練習だね」
「か、開脚って、ボク、まだやるって決めたわけじゃないよ?」
「でも、好きな体操と組み合わせると気持ちが楽になると思うよ」
「だけど、スカート穿いたら体操の格好じゃなくなっちゃうし」
「じゃあ、体操の代わりにバレエにしようよ」
「ええっ? バレエ?」
さすがの衛もこれには呆れてしまった。ただでさえフリフリのヒラヒラが苦手なのに、バレエといえばフリフリのヒラヒラの王さま、じゃなくて女王さまだ。あにぃってばホントに何考えてるんだろ。
「そう、チュチュの代わりにプリーツスカート。そんなに悪いアイディアじゃないと思うけど。衛ならきっと似合うよ」
今の兄に何を言っても無駄のような気がしてきた。衛はどっとため息をつく。
「……じゃあ、あっち向いてよ。スカート穿くから」
「でも、今さら隠さなくたってもう見えて――」
「いいからあっち向いてってば!」
背中を押して後ろを向かせ、衛も回れ右をした。
そして、手にしたスカートをまじまじと見つめる。みんな、こんなに短くて小さな布で隠しているなんて何だか信じられない。いつもドジな花穂ちゃんだけど、ああ見えてけっこうすごいのかも。
初めて穿いたスカートはウェストがぴったり合った。いつものスパッツの上に重ねただけなのに、こんなに胸がドキドキするのはどうしてだろう。
「うん、やっぱり似合ってるよ」
兄がいつの間にかこっちを向いていた。
「もうっ、あっち向いててって言ってたのに」
衛は唇を尖らせて抗議するが、兄はまるで気にした様子もない。
「じゃあ、始めようか」
と言って歩み寄り、衛の手を取ってぴったりと寄り添う。衛はもう驚かなかった。というより、いい加減驚き疲れてしまった。それに、こうして抱き止められていると、兄を独り占めできたみたいで次第に楽しくなってきた。
「まずは立ったままで開脚だね。いきなり広げるとケガすると思うから、最初はあんまり無理しないで」
「えっと、こんな感じ?」
兄の身体を支えにつま先立ちし、もう片方の足をすっと横に伸ばしては下ろす。繰り返していると、何だか本当にバレリーナになった気がしてきた。やっぱりボク、女の子でよかったかも。バレエって、男同士でペアにならないからね。
「うん、指先も綺麗にちゃんと伸びてるね。じゃあ、水平からだんだん上に伸ばしてくれる?」
「わかったよ、あにぃ。やってみるね」
床の上ならいくらでもできるのだが、立ったままとなるとこれが意外に難しい。兄が支えてくれなければとっくの間に倒れていただろう。時計の長針のように足がじりじりと上がってゆく。
「いいよ、その調子その調子。ふくらはぎのラインが綺麗だね」
角度とシンクロして兄の声も次第に上擦ってゆく。
「ほら、もっと上げてみて。くるぶしの凹凸を見せ付けるようにして」
「こ、こう?」
支える足がぷるぷると震え始める。
「衛ならもう少し頑張れるはずだよ。ああ、土踏まずに寄った皺がキュートだよ」
「そっ、そんなこといっても、もう限界……」
「本当にあとちょっとだから。ほら、あと少しで衛のつま先が僕の目の前に……!」
「……へっ?」
直後、足の裏に何やらぐにゃっとしたものを感じた。
不審に思って身体を捻らせた衛が見たものは、兄の顔に埋まり込んだ自分の足だった。
「うわあぁぁっ!?」
そして、その状況を正しく把握する前に足が勝手に動いた――要するに、思い切り蹴飛ばしてしまったのだ。兄は呻き声ひとつ上げず、木が切り倒されるようにズドンと倒れた。
「あああああにぃっ! 大丈夫? ねぇ、しっかりしてよ。あにぃってば!」
しかし兄は、衛の必死の呼び掛けにも答えることなく、すっかり満ち足りた表情で床に横たわっていた。
Next → 『春歌の場合』